「動画編集って難しそう。自分にできるだろうか…」
Udemy講座の制作で、多くの人がハードルに感じるのがこの編集工程です。
YouTubeの動画を見ていると、テロップ、効果音、BGM、トランジション(画面の切り替え効果)と、凝った編集が当たり前のように使われています。「あのレベルの編集をしないといけないのか」と思うと、始める前から気が重くなりますよね。
結論から言います。Udemy講座の編集に、あのような凝った編集は必要ありません。むしろ、やらないほうがいい。
僕はUdemyでベストセラー講座を複数公開し、Udemy Businessにも選出されています。受講生として300以上のUdemy講座を購入してきた経験もあります。その両方の立場から言えるのは、学習コンテンツの編集は「引き算」が正解だということです。
この記事では、Udemy講座に本当に必要な編集テクニックだけを解説します。
なぜUdemy講座に凝った編集は不要なのか
まず、YouTube動画とUdemy講座の根本的な違いを理解してください。
YouTube動画の目的は「視聴者のエンゲージメントを維持し、できるだけ長く見てもらうこと」です。だからテロップ、効果音、ジャンプカット(間を詰めた高速編集)を多用して、飽きさせない工夫が必要になります。
一方、Udemy講座の目的は「受講生が知識やスキルを習得すること」です。受講生はお金を払って学びに来ています。エンタメ要素で注意を引く必要はなく、むしろ余計な演出は学習の妨げになります。
具体的に言うと、以下のものはUdemy講座では基本的に不要です。
- BGM: 講師の声に集中したいのに、裏で音楽が流れていると邪魔になる
- 派手なトランジション: スライドが切り替わるたびにエフェクトが入ると、テンポが悪くなる
- 過剰なテロップ: 重要なキーワードを強調する程度ならOKだが、全文字幕は編集時間が膨大になる
- 効果音: 学習コンテンツに「ピコーン」や「ジャーン」は不要
受講生として300以上のコースを買ってきた僕の実感では、高評価のコースほど編集がシンプルです。良い講師は、内容の分かりやすさと音声のクリアさで勝負しています。
最低限の編集:やるべきことは3つだけ
Udemy講座の編集でやるべきことを3つに絞ります。この3つだけで十分です。
① 不要部分のカット
録画中に発生する以下のような部分をカットします。
- 言い間違い・言い直し: 「あ、すみません、今のなしで…」の部分
- 長い沈黙: 次に何を話すか考えている無言の時間
- 「えーと」「あのー」などのフィラー: 頻繁に入る場合はカットする(自然な程度なら残してOK)
- 雑音が入った部分: ドアの音、通知音など
カットのコツは、「間を空けてから言い直す」という撮影時の習慣とセットで考えることです。言い間違えたら、2〜3秒の間を空けてから正しい内容を話し直す。こうすると、編集時に「間」の部分で波形が平らになるので、カットポイントが一目で分かります。
② ノイズ除去
どんなに静かな部屋で録音しても、微量のホワイトノイズ(「サー」という音)は入ります。これを編集ソフトのノイズ除去機能で軽減します。
やりすぎると声が不自然になるので、「完全に消す」のではなく「気にならない程度に抑える」くらいが適切です。具体的な手順は後ほど編集ソフト別に説明します。
③ 音量の均一化(ノーマライズ)
レクチャーごとに音量がバラバラだと、受講生がその都度ボリュームを調整する羽目になります。これは学習体験として非常にストレスです。
すべてのレクチャーの音量を一定のレベルに揃える処理を「ノーマライズ」と呼びます。ほとんどの編集ソフトにこの機能があり、ワンクリックで処理できます。
Udemyの推奨音量は-6dB〜0dB(ピークレベル)です。この範囲に収まるように調整してください。
編集にかける時間の目安
「編集ってどのくらい時間がかかるの?」という質問をよく受けます。
目安をお伝えすると、収録時間の1.5〜2倍です。
つまり、10分のレクチャーなら編集に15〜20分。1時間分のレクチャーなら、編集は1.5〜2時間。これが僕の経験から言える現実的な数字です。もしこの時間を大幅に超えているなら、編集に凝りすぎている可能性があります。
逆に、慣れてくると収録時間の1倍程度(10分のレクチャーに10分の編集)で終わるようになります。最低限のカットとノイズ処理だけなので、回数を重ねるほど速くなります。
もし予算をかけても良いなら簡単なカット編集のみを外注化してコース制作のスピードを上げるのも手です。

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編集ソフトの選び方:3つの選択肢
Udemy講座の編集に使えるソフトを3つ紹介します。
DaVinci Resolve(無料) – 最もおすすめ
Blackmagic Design社が提供する動画編集ソフトで、無料版でもプロレベルの機能が使えます。僕がUdemy講座の編集で最もおすすめするのがこのソフトです。
おすすめの理由:
- 完全無料で、透かしや機能制限がほぼない
- カット編集、ノイズ除去、音量調整がすべてこのソフト1つで完結する
- 「Fairlight」という音声編集専用のワークスペースがあり、ノイズ除去や音量のノーマライズが直感的にできる
- Windows、Mac両対応
- ハリウッドの映画編集でも使われているソフトなので、将来的にどこまでもスキルを伸ばせる
デメリット:
- PCのスペックをそれなりに要求する(特にメモリは16GB以上推奨)
- 機能が多いため、最初は画面に圧倒されるかもしれない
ただし、Udemy講座の編集に使う機能はごく一部です。「カット」「ノイズ除去」「ノーマライズ」の3つの操作方法だけ覚えれば十分で、それぞれYouTubeに日本語チュートリアルが豊富にあります。
CapCut(無料) – 初心者に最もやさしい
もともとスマートフォン向けの動画編集アプリとして人気になったCapCutですが、デスクトップ版もあります。操作が直感的で、動画編集が初めての方でも迷いにくい設計です。
おすすめの理由:
- 操作が非常にシンプル
- 基本的なカット編集やノイズ除去が簡単にできる
- テンプレートが豊富(ただしUdemy講座ではほぼ使わない)
デメリット:
- 音声編集の細かい制御はDaVinci Resolveに劣る
- 商用利用の条件を確認する必要がある
- 無料だと使用回数が制限されるようになった
「動画編集ソフトを触ったことが一度もない」という方が最初に試すには良い選択肢です。CapCutで編集の基本に慣れてから、DaVinci Resolveに移行するというステップもありです。
Adobe Premiere Pro(月額約2,700円〜) – 業界標準
プロの動画編集者が最も多く使っている業界標準のソフトです。機能は申し分ありませんが、月額課金制なのでランニングコストがかかります。Adobe税が気にならない、使い慣れてるという方はこれでOKです。
おすすめの理由:
- 業界標準なので情報が豊富
- Adobe製品(Photoshop、After Effects等)との連携が強い
- 安定性が高い
デメリット:
- 月額費用がかかる
- Udemy講座の編集だけにはオーバースペック
すでにAdobe Creative Cloudを契約していて、Premiere Proが使える環境にあるなら活用してください。ただし、Udemy講座の編集のために新規でサブスクリプション契約する必要はありません。無料のDaVinci Resolveで十分対応できます。
ソフト比較まとめ
| ソフト | 費用 | 難易度 | 音声編集 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| DaVinci Resolve | 無料 | 中 | 非常に強い | 最もおすすめ |
| CapCut | 無料 | 低 | 基本的 | 初心者の入口として |
| Premiere Pro | 月額約2,700円〜 | 中〜高 | 強い | 既に契約済みなら |
具体的な編集ワークフロー
ここからは、実際の編集の流れを解説します。
DaVinci Resolveを例にしますが、基本的な考え方はどのソフトでも同じです。
ステップ1:素材の読み込みと確認
録画した動画ファイルを編集ソフトに読み込みます。まず全体を再生して、カットすべき箇所にメモ(マーカー)をつけていきます。
このとき、「完璧に仕上げよう」とは思わないでください。あくまで「受講生の学習を妨げる部分を取り除く」のが目的です。
ステップ2:不要部分のカット
マーカーをつけた箇所をカットしていきます。カットの前後で音声が不自然につながらないよう、切り替え部分に0.5秒程度の間を残すのがコツです。間を詰めすぎると、言葉と言葉が不自然にくっついて聞き取りにくくなります。
ステップ3:ノイズ除去
DaVinci Resolveの場合、「Fairlight」ワークスペースに切り替えて、音声トラックにノイズリダクションのエフェクトを適用します。
手順は以下の通りです。
- Fairlightワークスペースを開く
- 音声トラックを選択
- 「エフェクト」からノイズリダクションを追加
- プレビューで聴きながら、声が不自然にならない程度に調整する
数値の目安は、ノイズリダクションの強さを「中程度」にすること。強くしすぎると声がロボットのように不自然になります。
ステップ4:音量のノーマライズ
同じくFairlightワークスペースで、音量のノーマライズを実行します。
- 全クリップを選択
- 「ノーマライズ」を実行(ターゲットレベル: -3dB程度に設定)
これですべてのレクチャーの音量が統一されます。
ステップ5:書き出し(エクスポート)
編集が終わったら、動画ファイルとして書き出します。Udemyの推奨設定は以下の通りです。
- 解像度: 1920 x 1080(フルHD)
- フレームレート: 30fps
- ファイル形式: MP4(H.264コーデック)
- 音声: AAC、48kHz
この設定で書き出せば、Udemyのアップロード基準を問題なくクリアできます。
Udemyの音声品質基準を満たすためのチェックリスト
Udemyにはコースの審査があり、音声品質が基準を下回ると修正を求められます。書き出した動画を提出する前に、以下のチェックをしてください。
- ホワイトノイズが気にならないレベルまで除去されているか
- エコー(反響音)が入っていないか
- 音量が小さすぎないか(ヘッドフォンなしで聞ける程度)
- レクチャー間で音量の差がないか
- 講師の声がクリアに聞き取れるか
ヘッドフォンをつけて確認することを強くおすすめします。スピーカーでは気にならなかったノイズが、ヘッドフォンではっきり聞こえることがあります。
実際のところ、この品質チェックは「自分が受講生だったら、このコースをストレスなく受講できるか?」という1つの基準に集約されます。自分で通して聴いてみて、受講のペースを保てるなら大丈夫です。

編集を外注する選択肢
「編集にかける時間がない」「そもそもPCの操作が苦手」という方は、編集の外注も選択肢に入ります。
日本語で依頼できるプラットフォームとしては、以下があります。
- クラウドワークス: フリーランスの動画編集者が多数登録。実績やポートフォリオを見て選べる
- ランサーズ: CrowdWorksと同様の仕組み。どちらか使いやすいほうを選べばOK
- ココナラ: スキル売買のプラットフォーム。「動画編集」で検索すると、専門の出品者も見つかる
外注する場合の費用感は、レクチャー1本あたり1,000〜3,000円程度が相場です。10レクチャーのコースなら1万〜3万円。
ただし、外注する際に注意点が1つあります。最初のコースは自分で編集することを強くおすすめします。 理由は、自分で編集の工程を経験しておかないと、外注先に的確な指示が出せないからです。
「この部分をカットしてください」「ノイズ除去はこのくらいの強さで」という指示を出すには、自分が一度やっておく必要があります。あとは収録時に外注前提でカットポイント作ってあげると効率的です。
2本目以降のコースで、自分の時間をコンテンツ制作に集中させたいと思ったタイミングで外注を検討するのが現実的です。
編集の前段階、コースの企画をしっかり固めたい方へ
編集の効率は、撮影の段階でほぼ決まります。そして撮影の質は、企画の段階で決まります。
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まとめ:編集は「学習の妨げを取り除く」作業
この記事の内容をまとめます。
Udemy講座の編集はYouTubeとは作り方が全く異なります。BGM、トランジション、テロップは不要。
「学習コンテンツ」として、受講生が集中して学べる環境を作ることだけを考えましょう。
編集でやるべきことは3つだけ:
- 不要部分のカット(言い間違い、長い沈黙、フィラー)
- ノイズ除去(ホワイトノイズを気にならないレベルに)
- 音量の均一化(レクチャー間でバラつきをなくす)
編集時間の目安は収録時間の1.5〜2倍。これを大幅に超えていたら凝りすぎ。カットのみで淡々と進めましょう。
多少編集を学ぶ余裕があるならDaVinci Resolve(無料)が最もおすすめ。初心者はCapCutから入ってもOKです。
編集を通して「自分が受講生だったら、ストレスなく学習ペースを維持できるか?」を一つの基準に進めてみてください。
編集に時間をかけすぎて、コースの公開が遅れることのほうが機会損失です。最初のコースは最低限の編集で出して、受講生のフィードバックを受けてから改善していく。それがUdemyで成功する現実的なアプローチです。
次のステップ
撮影・編集ができたら、あとはUdemyに公開するだけです。公開前後にやるべきことを含めた全体像は、Udemy講師の始め方完全ガイドで解説しています。
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