講座のカリキュラムが決まったものの、「実際のレクチャー動画を作るための資料や台本をどう準備すればいいのか分からない」と悩んでいませんか?
資料のデザインや台本の準備は、講座の印象を大きく左右する重要な要素です。
しかし、ここで完璧を求めすぎると、いつまでたっても講座が完成しません。
この記事では、効率的でありながら質の高いレクチャー動画を作るための資料作成と台本準備のコツを詳しく解説します。
記事を読み終える頃には、迷わずに動画制作に取りかかれるようになっているはずです。
資料作成で重要なのは「シンプルさ」
デザインにこだわりすぎる危険性
多くの人が陥りがちなのが、「見栄えの良い資料を作らなければ」という完璧主義の罠です。
僕も以前は講座を作る際、スライドのデザインにこだわりすぎて、何度も見直して微調整してしまい、制作スピードが大幅に遅くなってしまったことがあります。
その結果、肝心の講座内容の準備が全く進まないという状況に陥りました。
ですが、オンライン講座に本当に必要なことを改めて見直した結果、効率的に動画講座を制作できるようになっていきました。
受講者が本当に求めているもの
受講者が講座に求めているのは、美しいデザインではなく「分かりやすい説明」と「実用的な知識」です。
凝ったデザインよりも、シンプルで読みやすく、内容が理解しやすい資料の方が、圧倒的に高く評価されます。
感覚的には「内容の分かりやすさ」が9割くらいを占めていて、次いで講師のスピーキングスキル、そしてデザイン面は微々たる影響です。(とは言え、素人すぎるデザインは評価できないですが、、、)
シンプルで効果的な資料の特徴
良い資料の条件:
- 文字が大きくて読みやすい
- 要点が整理されている
- 一目で理解できる構成
- 一貫性のあるデザイン
- 情報量が適切
避けるべき資料:
- 装飾が多すぎて読みにくい
- 情報が詰め込まれすぎている
- 文字が小さくて見えない
- 色使いがバラバラ
- アニメーションが多すぎる
学習者の目線になって考えてみると、シンプルで分かりやすいことが何よりも大事です。
Canvaを活用した効率的なスライド作成
なぜCanvaがオンライン講座に最適なのか
PowerPointやKeynoteも優秀なツールですが、オンライン講座の資料作成にはCanvaをおすすめします。
僕はmacユーザーなのでKeynoteを使ってましたが、Canvaの方が圧倒的に綺麗なデザインを素早く作成できます。
Canvaの利点:
- 豊富なテンプレートで時短可能
- 最適なサイズ(16:9)が用意されている
- デザイン知識がなくても綺麗な資料が作れる
- クラウドベースでどこからでもアクセス可能
特に、テンプレートの豊富さは制作スピードに大きく影響します。
僕も資料制作をする際はCanvaのテンプレートをベースにして、自分用にカスタムして利用しています。
テンプレートを活用した時短テクニック
まずはテーマにあったスライドテンプレートを探してみてください。
Udemyの動画は16:9が推奨されているので、そのサイズの「プレゼンテーション」のカテゴリから選択すれば問題ありません。
- テーマに合ったテンプレートを選択
- 「プレゼンテーション」カテゴリから選ぶ
- シンプルで読みやすいものを優先
- 色調が統一されているものを選択
- 基本情報をカスタマイズ
- 講座タイトルやロゴを変更
- ブランドカラーに調整(必須ではない)
- フォントやサイズを適切に設定
- コンテンツを流し込み
- 各スライドにカリキュラムの内容を入力
- 図表や画像を必要に応じて追加
- 一貫性を保ちながら作成
僕の場合は「シンプル」や「ブラックホワイト」等で検索して出てきたテンプレートを利用することが多いです。
動画講座に適したサイズ設定と基本操作
最近の動画プラットフォームにも共通していることですが、16:9の画面比が推奨されています。
ここを間違えてしまうと、Udemyの審査時に引っ掛かってしまう場合もあるので要注意です。
推奨設定:
- サイズ:プレゼンテーション(16:9)
- 解像度:1920×1080px(フルHD)
- 背景:明るい色(白系統推奨)
僕の運営しているUdemy講師向けの講座「CreatorsLAB」では下記のフォーマットを推奨しています。
Canva以外のデザインソフトを利用する際は文字サイズが違ったりする可能性もあるので気を付けてください。
- スライドサイズ:16:9 (1920×1080)
- 文字サイズ:45px~
- フォント:基本的にはゴシック体
- デザイン:テンプレートを使う
- アニメーション、BGM:不要
このフォーマットに従うことで、統一感のある見やすい資料を効率的に作成できます。
見やすい資料デザインの基本ルール
スマホ対応の文字サイズが重要
Udemyには専用のスマートフォンアプリがあり、多くの受講者がスマホで講座を視聴しています。
そのため、スマホの小さな画面でも読める文字サイズが非常に重要です。
- タイトル:50pt
- テキスト:35-45pt
- 注釈:30-35pt
このサイズ設定により、スマホの小さな画面でも十分に読みやすい資料を作成できます。
僕は以前パソコン環境での視聴を前提に作った動画レクチャーで「文字が小さくて読みにくい」といったレビューを頂いたことがあるので、講座の評価にも直結するくらい重要なポイントです。
色使いの基本(背景と文字のコントラスト)
視認性を確保するために、背景と文字の色のコントラストも十分に注意しましょう。
- 白背景 + 黒文字(最も読みやすい)
- 濃紺背景 + 白文字
- グレー背景 + 黒文字
基本的には「白+黒」で構成するのがストレスなく受講して頂けると多います。
長時間見ていて目が疲れるような色は出来るだけ避けましょう。
1スライド1メッセージの原則
効果的なスライドに仕上げるコツは、1枚につき1つの重要なメッセージに絞ることです。
良い例:
- スライド1:「ChatGPTとは何か」
- スライド2:「ChatGPTでできること」
- スライド3:「ChatGPTの使い方」
悪い例:
- スライド1:「ChatGPTとは何か、できること、使い方、注意点」
このように1枚のスライドに情報を詰め込みすぎると、受講者の集中力が散漫になってしまいます。
資料の内容は最低限にし、あとは喋りながら補足するとスムーズに学習できる動画に仕上がります。
図解・画像の効果的な使い方
文字だけでなく、適切な図解や画像を使うことで理解度が向上します。
- 複雑な概念は図解で説明
- 手順を矢印付きの画像で表現
- 実際の画面キャプチャを多用
- データはグラフで視覚化
文字が小さくなってしまって、スマホからの学習者が読みにくくなってしまう点は気をつけましょう。
話すスキルに応じた台本準備戦略
自分の話すスキルを正しく把握する
台本の準備は、あなたの話すスキルによって最適な方法が異なります。
初めてオンライン講座を作成する場合は、スキルレベルに関わらず、できるだけ台本を用意することを推奨します。
とは言え、台本作りはかなり時間のかかる作業でもあるので、下記のような方は簡易的な台本だけでも十分です。
- 普段から人前で話す機会が多い
- アドリブで話を組み立てられる
- 要点さえあれば流暢に説明できる
一方で、あまり動画収録に慣れていなかったり、スピーキングやプレゼンが不得意だという場合は、スムーズに話せるくらいの台本は作成しておきましょう。
- 緊張して言葉に詰まりやすい
- 話の順序が混乱しやすい
- 「えーっと」「あのー」などの口癖が多い
スキル別の台本準備方法
話すのが得意な人:箇条書きメモで十分
・ChatGPTの3つの特徴
- 自然な対話が可能
- 幅広い知識を持つ
- 多様なタスクに対応
・実際の使用例
- メール作成
- 文章校正
- アイデア出し
話すのが苦手な人:詳細台本でしっかり準備
ChatGPTには3つの大きな特徴があります。
1つ目は、自然な対話が可能だということです。
従来のAIと違って、まるで人間と話しているような自然なやり取りができます。
2つ目は、幅広い知識を持っているということです。
ビジネスから趣味まで、様々な分野の質問に答えることができます。
3つ目は、多様なタスクに対応できることです。
文章作成、翻訳、要約など、一つのツールで多くのことが実現できます。
バランス重視:要点+キーフレーズの組み合わせ
・ChatGPTの3つの特徴
1. 自然な対話が可能
→「まるで人間と話しているような」
→「従来のAIとの違いを強調」
2. 幅広い知識
→「ビジネスから趣味まで」
→「様々な分野をカバー」
3. 多様なタスク対応
→「一つのツールで多くのことが実現」
台本準備のメリット・デメリット
詳細な台本を作ることで、言葉に詰まることなく、重要なポイントを漏らさずに伝えることができます。
また動画レクチャーの品質も一定に保てるので利点は多いです。
しかし、準備に時間がかかることや、棒読みになってしまったり、自然さが失われることもあります。
箇条書きメモの場合は、準備時間も短く済むためスピーディに動画レクチャーの収録を進められます。
自然な口調で話せますし、アドリブが効くので操作画面の解説等では必要なスキルでもあります。
しかし、話し慣れていない場合は言葉に詰まってしまったり、重要なポイントを解説し忘れるリスクもあります。
どちらもメリット・デメリットがあるので、自分のスピーキングレベルに合わせて用意してみてください。
生成AIを活用した台本作成効率化
ChatGPTで台本の下書きを作成する方法
最近では、生成AIを活用することで台本作成を大幅に効率化できます。
効果的なプロンプト例:
以下の内容について、5分程度のオンライン講座の台本を作成してください。
【テーマ】ChatGPTの基本的な使い方
【対象者】ChatGPT初心者のビジネスパーソン
【学習目標】ChatGPTでメール作成ができるようになる
条件:
- 親しみやすい口調で
- 具体例を3つ以上含める
- 重要なポイントは繰り返し説明する
話すべきポイントの整理依頼
また、カリキュラムの要点整理もAIに依頼できます。
整理依頼のプロンプト例:
以下のカリキュラム内容について、10分のレクチャーで話すべき重要なポイントを箇条書きで整理してください。優先度の高い順に並べ、それぞれに簡単な説明例も付けてください。
【カリキュラム内容】
〜ここに内容を貼り付け〜
台本のブラッシュアップと自然な表現への調整
AIが作成した台本は、そのまま使うのではなく、あなたらしい表現に調整することが重要です。
調整のポイント:
- 普段使わない難しい言葉は簡単な表現に変更
- あなたの体験談や具体例を追加
- 口調を自分らしいものに統一
- 不自然な敬語は自然な表現に修正
AIはあくまで下書き作成のサポートとして活用し、最終的には必ず自分らしい内容に仕上げましょう。
僕は綺麗にまとめすぎて「AIの台本っぽい」と言われたこともあるので、、、笑
制作効率と品質のバランス
言葉に詰まると編集時間が増える問題
台本準備を怠ると、撮影時に言い間違えたり、「あー」「えー」などの不要な言葉が増えてしまいます。
テンポよくストレスなく学習してもらうためにも、こういった部分はカットすべきです。
その結果、編集に余計な時間がかかってしまうことになります。
- 言い間違いの修正
- 不要な「えー」「あのー」をカット
- 言い直し部分の編集
- 音声の継ぎ接ぎによる不自然さの修正
適切な台本準備により、これらの編集作業を大幅に削減できます。
完璧を求めすぎずに「及第点」を目指す
ただし、完璧な台本や資料を求めすぎるのも問題です。
- 受講者が内容を理解できる
- 大きな言い間違いがない
- 学習目標が達成される
- 視聴に支障がない
80点の品質で素早くリリースし、受講者のフィードバックを基に改善していく方が、完成しないよりもはるかに有効です。
また、Udemyではレクチャーをいつでも差し替えることができるため、後から改善することも可能です。
長期的な学習体験を意識した品質ライン
講座は一度作成すれば、長期間にわたって多くの人に視聴されます。
そのため、最低限の品質ラインは確保しておくことが大事です。
- 音声がクリアに聞こえる
- 資料の文字が読める
- 内容に明らかな間違いがない
- 学習の流れに一貫性がある
この基準をクリアしていれば、まずは講座をリリースして問題ありません。
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1:デザインにこだわりすぎて講座が完成しない
問題: スライドのデザインに凝りすぎて、肝心の講座制作が全く進まない。
対策:
- テンプレートを活用して時短する
- デザインにかける時間を1スライド15分以内に制限
- 内容の充実度を最優先にする
失敗パターン2:台本なしで撮影してグダグダになる
問題: 「話すのは得意だから大丈夫」と台本準備を怠り、撮影時に言葉に詰まって収拾がつかなくなる。
対策:
- 最低でも要点メモは準備する
- 一度練習してから撮影に臨む
- 重要なキーワードやフレーズは事前に決めておく
失敗パターン3:文字が小さすぎてスマホで読めない
問題: PCの大画面で作成した資料が、スマホでは文字が小さすぎて読めない。
対策:
- まとめて収録する前にまずは1本スマホで確認する
- 情報を詰め込みすぎず、適切に分割する
失敗パタール4:一貫性のないデザインで見にくくなる
問題: スライドごとにデザインがバラバラで、統一感がなく見にくい。
対策:
- 同一テンプレートを最後まで使用
- フォントサイズと色の使い方をルール化
- 作成途中でデザインを変更しない
まとめ:効率的な資料・台本準備で質の高い講座を作る
効果的なレクチャー動画を作成するためには、資料と台本の適切な準備が欠かせません。
重要なのは、完璧を求めすぎずに、受講者にとって分かりやすく、あなたにとって制作しやすいバランスを見つけることです。
Canvaのテンプレートを活用してシンプルで読みやすい資料を作り、自分の話すスキルに応じた台本を準備することで、効率的に質の高い講座を制作できます。
また、生成AIを活用することで台本作成の効率化も可能です。
ただし、AIはあくまでサポートツールとして使い、最終的には自分らしい表現に仕上げることを忘れずに。
資料と台本の準備が整ったら、いよいよ動画レクチャーの収録に進みます。
次のステップでは、必要な機材の選び方から効率的な収録方法まで、プロ並みの動画を撮影するためのテクニックについて詳しく解説していきます。