この記事はPodcastの書き起こしです
こんにちは、滝沢直人です。
先週は「競合だらけの市場で選ばれる講座の作り方」についてお話ししました。
「誰でも向け」ではなくターゲットを絞ることで選ばれやすくなるという話でしたね。
今週は、その次のステップとして「講座の価格設定」について深掘りしていきます。
実は、価格設定って、多くの人が思っているより奥が深いんです。
「安くすれば売れる」と思いがちですが、実際はそう単純ではありません。
むしろ、価格を下げることで逆に売れなくなってしまうケースも多くあります。
今日は、なぜそういうことが起きるのか、心理学的な側面も交えながらお話ししていきます。
そして、UdemyやTeachableなど、販売するプラットフォームによって価格戦略がどう変わるのかも触れていきます。
価格設定でよくある間違い
まず最初に、講座の価格を決めるときに多くの人が陥ってしまう、よくある間違いについてお話しします。
間違い1:安くすれば売れると思い込む
一番多いのが「安くすれば売れる」という思い込みです。
「高いと買ってもらえないから、できるだけ安くしよう」と考えてしまうんですね。
でも実は、これは大きな間違いなんです。
理由は後で詳しく説明しますが、安すぎる価格設定は逆に「これ本当に大丈夫かな?」という不安を与えてしまうことがあります。
間違い2:競合の最安値に合わせてしまう
2つ目は、競合の価格を調べて、その中の最安値に合わせてしまうパターンです。
「他の講座が3000円だから、うちは2500円にしよう」みたいな考え方ですね。
でも、価格競争に巻き込まれてしまうと、最終的には利益が出なくなってしまいます。
価格を決めるのは市場だけじゃなく、サービスの価値だったり、あなた自身のブランドで大きく変わります。
間違い3:自分の時給計算で価格を決めてしまう
3つ目は、「講座制作に30時間かかったから、時給2000円として6万円にしよう」という考え方です。
一見合理的に思えますが、これも適切ではありません。
なぜなら、お客様は「あなたがどれだけ時間をかけたか」ではなく、「自分がどんな価値を得られるか」で購入を判断するからです。
30時間で作った講座でも、お客様にとって10万円の価値があれば、10万円で売れるべきなんです。
価格の心理学:安いものが選ばれない理由
では、なぜ安い価格設定が逆効果になることがあるのでしょうか?
これには、人間の心理が大きく関わっています。
価格と品質の心理的関係
人間は、価格と品質に強い相関関係があると無意識に思い込んでいます。
つまり、「高いもの=品質が良い」「安いもの=品質が悪い」と感じる傾向があるんです。
ハイブランドの10万円のTシャツは品質が良くて、投げ売りされている500円のTシャツは品質が悪いみたいな心理です。
ワイン実験の事例
この現象を証明した有名な実験があります。
同じワインを、異なる価格帯で参加者に飲んでもらう実験です。
「このワインは1000円です」と言って飲んでもらったグループと、「このワインは5000円です」と言って飲んでもらったグループで、味の評価を比較しました。
結果は、全く同じワインなのに、5000円だと言われたグループの方が「美味しい」と評価したんです。
しかも、これは単なる思い込みではなく、脳の活動を調べても実際に「美味しさを感じる部分」が活発になっていることが分かりました。
講座でも同じことが起きる
オンライン講座でも、全く同じことが起きます。
例えば、1000円の講座と30000円の講座があったとき、多くの人は「30000円の講座の方がきっと内容が充実しているだろう」と感じます。
逆に、1000円の講座に対しては「安いから内容も大したことないのかな」と思ってしまうんです。
この心理的効果は非常に強力で、実際の内容以上に価格が購入判断に影響を与えます。
だからこそ、単純に安くすればいいというものではないんです。
プラットフォーム別の価格戦略の違い
ここからは、販売するプラットフォームによって価格戦略がどう変わるのかを具体的に見ていきましょう。
Udemyの価格戦略
Udemyには独特の価格システムがあります。
定価は高く設定して、セール価格で実際に売るという仕組みです。
例えば、定価を24000円に設定しておいて、セール時には1200円から2400円で販売するというパターンが一般的です。
これはUdemyが頻繁にセールを開催するプラットフォームだからです。
ユーザーも「Udemyの講座はセール価格で買うもの」という認識を持っているので、この価格設定が効果的に働きます。
定価を高く設定しておくことで、セール時の「お得感」を演出することができます。
また、Udemyの場合、受講者層も比較的価格に敏感で、1200円から3000円程度の価格帯で購入することに慣れています。
自社販売の価格戦略
一方、KajabiやTeachableなどを使った自社販売の場合は、戦略が大きく変わります。
定価で販売することが前提なので、より慎重な価格設定が必要になります。
自社販売の場合、一般的に価格帯も高くなる傾向があります。
数万円から数十万円の講座も珍しくありません。
自社販売の場合は価格設定の自由度が高いので、段階的な価格戦略を取ることも可能です。
例えば、最初は高めの価格で少数の受講生を集めて、レビューや実績を積んでから価格を調整するといった戦略です。
受講者層の違い
プラットフォームによって、受講者層の価格感覚も大きく異なります。
Udemyの受講者は「手軽に学習したい」という動機の人が多く、比較的価格に敏感です。
一方、自社サイトから購入する受講者は「この講師から学びたい」という明確な動機を持っていることが多く、価格よりも内容を重視する傾向があります。
この違いを理解して、それぞれのプラットフォームに適した価格戦略を取ることが重要です。
適正価格の見つけ方
では、実際にどうやって適正価格を見つければいいのでしょうか?
競合価格の調査
まず最初にやるべきことは、競合価格の調査です。
ただし、これは最安値に合わせるためではなく、市場相場を把握するためです。
同じジャンルの講座が、どのプラットフォームでどれくらいの価格で販売されているかを調べます。
Udemyなら定価とセール価格の両方をチェックし、自社販売の講座があれば、その価格帯も確認します。
ターゲット層の購買力を考慮
次に、自分のターゲット層の購買力を考慮します。
学生向けの講座と経営者向けの講座では、適正価格が全く違いますよね。
ターゲットの年収層や、学習にかけられる予算を考えて価格を設定する必要があります。
テスト価格から始める
最初は少し高めの価格で設定して、反応を見ることをお勧めします。
価格を下げるのは簡単ですが、一度下げた価格を上げるのは心理的に難しいからです。
「思ったより売れないな」と思ったら価格を下げて調整し、「思ったより売れるな」と思ったら、そのまま継続するか、さらに価格を上げることも検討できます。
価格以外の価値の伝え方
価格設定も大切ですが、価格以外の部分で価値を伝えることも重要です。
ただし、これもプラットフォームによって制約が異なります。
Udemyでの価値の伝え方
Udemyの場合、規約があるため、外部のボーナス特典や個別サポートを提供することはできません。
そのため、講座そのものの充実度で価値を伝える必要があります。
具体的には:
- 講座時間の充実:「8時間の大ボリューム講座」
- レクチャー数の多さ:「50本以上の詳細レクチャー」
- コンセプトの明確性:「実践的なスキルが身につく」
といった要素で差別化を図ります。
また、講座内で提供するダウンロード資料やワークシートなども重要な価値要素になります。
自社販売での価値の伝え方
自社販売の場合は、はるかに自由度が高くなります。
- ボーナス特典:追加の動画コンテンツやテンプレート
- 個別サポート:メールサポートやZoom相談
- コミュニティアクセス:受講生限定のFacebookグループなど
- 返金保証:30日間返金保証など
これらの付加価値を自由に設定できるため、価格に見合った価値を提供しやすくなります。
規約の違いが価値提供に与える影響
このように、プラットフォームの規約の違いが、価値提供の方法に大きな影響を与えます。
Udemyの場合は講座内容で勝負するしかありませんが、自社販売の場合は講座以外の部分でも価値を提供できます。
この違いを理解して、それぞれに適した価値提供を考えることが重要です。
まとめ:価格設定の3つの原則
今日お話しした内容をまとめると、効果的な価格設定には以下の3つの原則があります。
1. プラットフォームの特性を理解する
Udemyなのか自社販売なのかによって、適切な価格戦略は大きく変わります。
それぞれのプラットフォームの仕組みや受講者層を理解して、最適な戦略を選択することが重要です。
2. 心理的価値を意識する
価格は単なる数字ではなく、品質の印象を大きく左右します。
安すぎる価格は逆に品質への不安を与えてしまうことを理解して、適切な価格設定を心がけましょう。
3. テストしながら最適化する
最初から完璧な価格を設定するのは困難です。
少し高めから始めて、反応を見ながら調整していくことで、最適な価格を見つけることができます。
価格設定は、講座ビジネスの成否を大きく左右する重要な要素です。
今日お話しした内容を参考に、ぜひ戦略的な価格設定に取り組んでみてください。
本日も最後までお聞きいただき、ありがとうございました。
それでは、また来週お会いしましょう!